ほぼ毎年Macを買っている敬虔なる林檎教の下僕である私のためにあるような質問ですね!
長年Macを買い替えながら使ってるうちに、以下のようなコツを覚えました。
- なるべくデフォルトで使い、カスタマイズしない。
- セットアップの手順は全てメモしておく。
- データはほぼ全てクラウドに置く(ハード本体を盗まれてもノーダメージ)
- macOSのアップグレードは常に全消去&クリーン・インストール
なお、私の場合には以下の3台のMacがあります。
- 自宅・母艦:iMac — 写真や音楽の元データを保管。Fusion Driveで2TB。バックアップはこのマシン上で実行。容量無制限のクラウド型バックアップ Backblaze で。ケーブルは電源1本のみで机上スッキリ。
- オフィス:MacBook Pro(大) — 外付けディスプレイにThunderbolt 3で接続。電源も給電されるのでケーブルはこの1本のみで机上スッキリ。
- 外出先:MacBook Pro(小) — 軽量性重視。標準の電源アダプタは大きくてかさばるのでRAVPower 61W USB-C 急速充電器を使用。
これら全てがクラウドで同期され、母艦側でBackblazeへバックアップがとられます。マシン3台+Dropbox/iCloud+Backblazeで「3-2-1ルール」を満たす多重バックアップ体制です。
ただし、MacBookには写真や音楽のような大きなデータのオリジナルはなく、iCloudに自動で最適化してもらうので、SSDの容量は小さくても大丈夫です。(Dropboxに置くファイルも断捨離して総量を小さくキープ)
むしろ頻繁に買い換えるので、MacBookはほとんどアップグレードせずにベースモデルを買います。それよりも、買い替えサイクルを短くして資産価値が高いうちにメルカリなどで売却したほうが(中古市場での相場がなかなか落ちないApple製品の場合には特に)お得です。ほんの数万の差額で買い替え続けられます。
以下、私の現在のセットアップ・メモをご紹介します。先月買ったMacBook Proに使ったものです。
まず、古いMac(もしMacが1台しかなければiPhoneなど)で「メモ」アプリを開き、以前のセットアップ・メモをコピーして「MacBook Pro新規セットアップ(2020年7月)」などとリネームします(これが初めてのメモなら新規作成)。そして、やった手順を漏らさず書き加えながら作業をすすめます。このメモが、今後セットアップを繰り返すたびにどんどん磨かれていきます。
新品を買ったらまず最初にインストール
- Dropbox
- 基本、ファイルやデータは全部ここ。同期に何時間もかかるので、まず最初に入れて開始しておく。
- ⌘英かな
- 英語版キーボードで左のCommandキーを「英」、右を「かな」にするツール。標準の英・かなの「切り替え(トグル)」は「現在の状態がどちらか?」を意識する必要があるステートフルな仕組みで、ストレスが溜まります。それよりも、とにかく英語入力したければ左のCommand、日本語なら右のCommandを空打ちしておけば、確実に入力が始められるステートレスな仕組みが快適です。たまに動作停止してアプリの再起動が必要になるので、それが気になるならちょっと複雑ですがKarabiner-Elementsでも同じことができます。
- Google Japanese Input
- 日本語入力はこれ。Googleの検索データを使うので固有名詞がとくに優秀。「ひらがな」だけ有効にし、英語入力はシステム標準のものを。
- Xcode
- 4~5GBとデカいので最初にダウンロード開始しておく。エンジニアでなければ不要かも。
- Resilio Sync
- 元BitTorrent Sync。Dropboxに入れるには大きすぎる・置きたくないファイルはこれで複数台のMac間でP2P同期しておく。バックアップは母艦側のBackblazeに任せる。
ダウンロード&同期を待っている間に、以下の設定をすすめます。
システム環境設定
- 共有
- コンピューター名を決める。複数台のMacがある場合には超重要!
- トラックパッド
- Tap to ClickをON (押し込まなくてもタップがクリックになる。腱鞘炎対策!)
- Force Click and haptic feedbackをOFF(強く押し込む操作は誤作動が多く苦手なので禁止。腱鞘炎対策!)
- アクセシビリティ → Pointer Control → Trackpad Options...
- Enable dragging: Three finger drag (三本指でドラッグできるように。腱鞘炎対策!)
- キーボード
- Modifier keys...でCaps LockをControlに割り当て
- エンジニアなら全員やってるやつ。Caps Lockも英・かなと同じで、状態依存なのでタッチタイピングに向かない。
- Shortcuts
- 「Use keyboard navigation to move focus between controls」で、Tabキーでフォーカスを移動できるようにする。(ダイアログのOK / Cancelなどを、Tab / Shift+Tabで移動しEnterやSpaceで確定し、キーボードだけで完結できるように。腱鞘炎対策!)
- Spotlightの表示に「Control+Space」を割り当てる。先の手順で Caps Lock → Control に置き換えていれば Caps Lock+Space つまり左手だけで操作可。腱鞘炎(ry
- テキスト
- Correct spelling automatically を OFF (うざい)
- Use smart quotes and dashes を OFF (うざい)
Finderの設定
ファイル操作などで一番お世話になるFinderの設定も済ませます。
- 環境設定
- 一般
- デスクトップに表示する項目:(全てにチェック)
- 新規Finderウィンドウで次を表示:(自分のユーザー名のホームディレクトリ)
- サイドバー
- 表示する項目:(ホームディレクトリ)をチェック、最近使ったタグを外す
- 詳細
- 検索実行時:現在のフォルダ内を検索
- デスクトップのどこかをクリックしてから Command+J
- ソート順:グリッドに沿う
その他のアプリのインストール
- Unsplash Wallpapers (Unsplashのステキ画像を日替わりで壁紙に)
- Mailplane or Spark(複数のGmailアカウントを一括管理)
- 1Password (iCloudでパスワード情報を同期)
- Apptivate (Command+Dでいつでも辞書アプリを表示・非表示)
- Screens (VNC系のリモート・デスクトップ、外出先から母艦を操作)
- Dato (システム標準の時計の置き換え)
- Bandwidth+ (外出先で帯域使用量が見える)
- 英辞郎 for macOS Dictionary で英辞郎の英和・和英辞書をインポート。
- Eijiro.dictionary, Reijiro.dictionary, Waeijiro.dictionary の3つを ~/Library/ にコピー
開発ツール類は省きますが、これにも別途のドキュメントがあり、dotfilesなどのセットアップはスクリプト化してあります。
これで、今これを書いている私のMacBook Proとほぼ同じ環境が再現します!
母艦側のデスクトップ(私の場合はiMac)は、代々のデータを引き継いでいくのでもう少し複雑です。
データ引っ越し漏れチェック
新旧の母艦でDropboxの同期が終わった後、きちんと全てのデータが同期できているかをターミナルで確認します。
2つのマシン上でそれぞれファイル一覧を書き出し、それを比較しています。最後のdiffで何も出力されなければ、完全に一致している=成功ということです。
iMac側
- $ find Dropbox -type f | egrep -v '.DS_Store|.dropbox.cache' | sort > ~/Dropbox/compare/dropbox_imac.txt
MBP側
- $ find Dropbox -type f | egrep -v '.DS_Store|.dropbox.cache' | sort > ~/Dropbox/compare/dropbox_mbp.txt
差分を確認
- $ cd Dropbox/compare
- $ diff dropbox_imac.txt dropbox_mbp.txt
Resilio Syncなどの他の同期フォルダがあれば、上記同様にして確認。
写真や音楽は Photos, iTunes (Music) の件数が一致してるかをチェック。
その他のクラウドに置いてない、母艦のみにあるデータは、一個のフォルダにまとめておき、手動で旧→新へコピー。(WiFiで時間がかかりすぎるなら高速な外付けHDDを経由したコピーのほうが速いことも)
ライセンスを停止
古いハードウェアを空っぽにする前に、紐付いているライセンス類を解除します。
- iTunes → アカウント → 認証 → このコンピュータの認証を解除
- AdobeやMicrosoftのアプリがあればそのライセンスも解除
バックアップを移行
Backblazeのライセンスを旧マシンから新マシンに移転し、バックアップを引き継ぎます(メニューから「Inherit Backup State…」を選択)。こうすることで、全体のバックアップをやりなおすことなく、全ての移行が完了します。
古いマシンをリセット
Command+R を押しっぱなしにしながらリブートし、リカバリーモードで起動。ディスクを消去してからOSを再インストールしてクリーンにし、譲渡できる状態にする。
一番難易度が高いのは、母艦マシンのOSアップグレードです。新旧の比較ができないので、信頼できるバックアップが鍵になります。
私は、定期的に環境を初期化したいので、OSのアップグレードもクリーン・インストールでやる派なのですが、なかなか難しいのでパズル感覚で頭の体操になります。
一番楽なのは、高速な外付けHDDを買って、旧マシンのホームディレクトリ丸ごとコピーしておくことです。重要なデータは全てここにあるはずなので、安心感があります。
- 事前にScanSnapなど周辺機器が新しいOSバージョンに対応しているかをチェック
- 外付けHDDにホームディレクトリを丸ごとコピーしてバックアップ
- 16GB以上のUSBスティックを接続し、新しいバージョンのmacOSのインストールディスクを作成(手順1・手順2)
- ライセンス類を停止
- そのUSBスティックから起動し、メインのディスクを完全消去、OSをクリーンインストール
- 外付けHDDから、ホームディレクトリの中身をコピーしてリストア(クラウドにない母艦のみにあるデータは一箇所にまとめておくと楽です。ホームディレクトリ全体をコピーするとクリーンにならないので、ここが難所です)
- 上記の母艦用の手順へ
となります。
なんだか長くなったので複雑そうに見えますが、慣れればとても簡単で心理的負荷は低いので、ダラダラとメモを読みながらやってれば完了します!
ぜひお試しあれ。
Appleストア店舗を神社と呼び、近くを通れば(ほぼ全ての製品を持ってるので用事もないのに)お参りをし、新製品が出ればお布施をする(特にiPhoneは2007年の初代から全モデルを一度も欠かさず発売初日に買ってます)という気持ち悪い信者ですが、どうぞお見知りおきください。