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一休さんにこんな逸話があります。

一休禅師の人徳は評判でした。そんなあるとき、ある豪商の主人が亡くなりました。そこで、家人が一休禅師に葬式の取り仕切りをお願いした。一休禅師はそれを快く引き受けて葬式の前日、いつものボロの僧衣を着てその商家に下見に出かけた。玄関先でウロウロしているボロの纏った乞食坊主然とした一休さんを見た他の家人が

「この乞食坊主、何をウロウロしているんだ。今はこの家は立て込んでいるんだ。さっさと消えろ」

と怒鳴って、一休さんを追い返した。さていよいよ葬式の日に、一休さんが煌びやかな法衣を纏ってその家を訪れた。一休さんを下にも置かないもてなしで葬式会場に導き入れた。そこでいよいよ葬式の儀式が始まった途端、一休さんはその法衣を脱いで褌一丁になって

「葬式はその法衣にやってもらいなさい」

と言ってその場を出て行った。

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