入管に携わる各職員は、入国や税関の違反者を見つけだすのに効果的だと思われる独自のやり方を持っています。(中には効果的ではないやり方もあります)
ロー・スクール(法科大学院)に通っている間、多忙を極める出入国管理の現場で働きました。(デトロイト〜ウィンザー間のトンネルと、トロント空港)私のテクニックは、とてもフレンドリーに対応することでした。
私は188cm(6′2″)で、ラグビーのフルバックを務めるような体型ですので、私の審査窓口に来る方たちはキツイ対応を想像します。私の最初の質問が、休暇や訪れた場所についてだと非常に驚かれます。私の経験からすると、このような対応で驚かせて警戒を解くことことで、相手はとても有益なことを話してくれるようになります。相手とのやりとりの間は、常に、とてもとてもフレンドリーに対応します。時には、こっそりと二次入管審査(対人間)か二次税関審査(対物品)に回します。
あるとき、ドラッグの供給元になる国から帰国した男性を対応しました。彼はミュージシャンになろうとしていて、タクシー運転手として準雇用されていました。(私がタクシーを予約するときのため、なんと名刺をくれました)
その後、「島のミュージックシーンについての会話は楽しいんだけど、トイレに行きたいから、急いでバッグを受け取らないと」と、彼は言いました。
直ぐに彼の入管カードに「二次審査が必要」とこっそりとチェックを入れ、バッグを受け取りに向かわせました。私は、上司を呼び、以下を書き留めました。
- 準雇用のタクシー運転手が、わずか3日間のカリブ海の休暇に正規の値段を支払っている。チケットは、直前に割引無しで購入されている。(当時の紙チケットからはいろいろなことが分かりました)
- 帰国する他のカナダ人と違って、日焼けしていない。(部屋にこもって仲介者を待っていたかも?)
- 急いでトイレに行きたがっており、胃の制酸剤を頻繁に口にしている。(ドラッグを飲み込んでいる人によく見られる行動です)
上司は荷物の回転ベルトコンベアーに向かい、彼が他の男に親指を立てる仕草をしたのを目にしました。その男性も、他の帰国者の中で唯一日焼けをしていませんでした。二人ともバッグを手に取り、ドアに向かって大股で胸を張って歩いていきました。出口にいる職員の前を通過する直前に、上司が彼らの肩をトンと叩き、一緒について来るように伝えました。この時点で、他にも数人の職員が彼らを取り囲んでいます。
二次審査の部屋に入ると、王立カナダ騎馬警察 (カナダの国家警察、略称:RCMP)がいますので、彼らは何かおかしいことに気づきます。彼は、集まっている人の中から私を見つけました、(証拠の連続性を確保するため、私もそこにいました)彼は、未だに私をフレンドリーな職員と思っていたので、バッグの検査前にトイレに行ってもいいかと聞いてきました。
私が返答する前に、警官が、調査の一環でトイレに行くことにはなるが、胃と腸の中にあるものを確認した後になることを伝えました。
バッグを開けると、ジャンボサイズのコンドームのほぼ空になった箱、便通を促すセンノシド錠(排出するため)、下痢止め薬(ぜん動運動を抑えるため)、そして制酸剤(胃酸を抑えるため)の巨大な容器が出てきました。
警察官は冷静に、自発的に地元の病院に行って浣腸をされるか、令状が発行されるまで待つかの選択肢があることを説明しました。最初は、彼らは「自発的に」浣腸されるのをためらっていました。
警察官は、自分の経験を軽く話し、裁判所が令状を出すよりもずっと早く胃酸が胃の中のものを溶かしてしまうことを伝えました。
飲み込んだ物(ハッシュオイル、コカイン、ヘロイン)が何であれ、コンドームの一つが破れてしまえば即座に命を落とすことが分かると、彼らのためらいは一瞬にして消え去り、病院に行くことになりました。彼らは、検死解剖よりも、罪に問われる方を選んだのです。
今日にいたるまで、あのフレンドリーな職員にドラッグを飲み込んでいたことに感づかれたとは思ってもいないでしょう。
私の国境での体験をもっと知りたい場合は、以下の私が書いた回答をご覧ください。(英語の回答になります)
David S. Lesperance's answer to Why is Canada so strict with U.S. citizens crossing the border?
David S. Lesperance's answer to Does Canadian customs do background checks?
回答者:デービット S. レスぺランス|過去、カナダの港でイミグレ職員として働いた