高評価がされている他の回答で、子どもが大人の発言を「理解できない」というものがありますが、そもそも「聞き取る方法」についての質問に対して「意味の理解」という回答がされているというズレに気づいている方は、どれだけいらっしゃるのでしょうか?
子どもは、大人の発言を聞き取っています。しかし、意味が分からないだけです。音と意味は別々に考えなければ、リスニングの問題を解決することはできません。
英語であれ日本語であれ、言語のリスニングにおいては3つの段階を経ることで、理解が行なわれます。
1.音
2.言葉(単語や文字)
3.意味
例えばですが「Check it out!」とネイティブが言った時に、まず第1段階として「チェケラゥ」のような音が聞こえます。その音を、聞こえたままに捉える(識別する)ことが第1段階です。
その音を元に「Check it out!」と言っている、と判断できるのが第2段階です。
そして最後に、その発言の意味が「要チェックや!」みたいに理解できるのが第3段階であり、ここはリーディング力に相当します。
ネイティブの英語を聞きとれるようになるためには、この3段階、つまり3つのスキルを全て伸ばすことが重要です。
(なお、大人が英語学習をする際には、これらのスキルを同時に伸ばすことは困難です。1つ1つ別々に、伸ばしていかなければなりません)
1段階目は音の話ですので、発音トレーニングは大事です。例えば日本語にはないRやL、FやVなどの音、その他の母音などは、そもそもきちんと聞き取れない人がほとんどです。こういった音をきちんと聞き取れるようになるためには、自分できちんと発音できるためのトレーニングが必要です。もし、これをやらないならば、最終的に推測でカバーせざるを得なくなります。
また重要なのは、意味を考えずに音だけに集中して聴く、という正しい音への意識を身につけることにより、耳のトレーニングを行なうことです。しかし、ここが多くの人の盲点になっています。多くの人が、意味や文法を考えながら、推測だらけのリスニングを、クセでしてしまっているからです。そのため、いくらリスニングをしても、耳のトレーニングになっていないのです。
2段階目として大事なのが、音の変化のルールを理解することです。
なお、世の中のリスニングのノウハウには、1段階目をすっ飛ばして「音の変化が分かれば聞き取れる」と言うものが多いのがもったいないと個人的に思います。もちろん、音の変化は大事ですが、その前に音自体を聞き取る力が大事なのです。
3段階目として、リーディング力が重要です。なぜなら、自分が読む以上のスピードで英語が聞こえてきたら、理解が追い付かないからです。また、自分が読んで理解できない英文も同様に、リスニングで理解できるはずがありません。
自分のリーディング力が、リスニング力の限界である――というのも重要な事実です。
最初のご質問に戻って、「どのようにすればネイティブの聞き取れるようになりますか?」ということですが、まず、日本語には存在しない、英語の音を聴きとれるようになる必要があります(第1段階)。
そのためには、発音トレーニングは必須です。そして、ネイティブの英語音声を聴きながら耳を鍛える必要があります。
ただしここで、意味を考えたり、内容を推測したりしながらリスニングすることがクセになっている人が多いのです。そのため、耳のトレーニングをしているつもりで、耳のトレーニングになっていない人が大勢いることだけ、重ねて指摘させてください。これは本当にもったいないんです(私は「左脳リスニング病」と呼んでいます)。
2段階目として、音の変化のルールを理解することはもちろん大事ですが、後は、しっかりとテキストを確認して、なんと言っているかを理解することが大事です。
私は「目」と「耳」を一致させる――と表現していますが、テキストを「目」で見た時に「こうやって発音する」と思っている音は、実際に「耳」から聞こえる音と異なっている場合が多々あります。特に、誤った思い込みがある場合も多いからです。それはいちいち修正しなければなりません。
そして、聞き取れなかった音声は何度も繰り返し聞いて耳を慣らすことも重要ですね。
また、第3段階目として、ネイティブが発音する以上のスピードで読めるリスニング力をつけることも必要です。
以上のことを全てしっかりとやっていただければ(意味を考えたり、推測をしないことが重要です)、かなりリスニング力が上がることはお約束できます。
題材としてネイティブ音声を使い、スクリプトをしっかりと確認し、何度も復習で聞くことで、ネイティブの音声も少しずつ聞き取れるようになるはずです。
応援しています。