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賢者は歴史に学び、凡人は経験に学び、愚者は歴史を繰り返す。

GAFAの代表として、アップルのチャートを見てみましょう。

Windows 95の登場によりマイクロソフトが躍進し、Macはどんどんシェアを落とし、もはやこれまでか、という状況で、アップルがNeXT社を買収し、スティーブ・ジョブズが復帰することが決まった1997年の株価は現在価値で$0.6。

1998年、斬新なデザインのiMacを発表し、モダンなMac OS Xを導入し、未来が開けて見えて$2.20まで伸びました。

もう4倍近く上がったし、今さら買ってもねぇ。

ところが、思ったほどの成長はなく2000年末には$1までダウン。

それ見たことか。

2001年、iPodが登場してポータブル音楽プレイヤー業界に衝撃が走るが、それが株価に反映され動き始めたのは2004年。それまで$1.5–2.0だったのが$5、$8と急伸しはじめます。そして2005年、いよいよMacがPowerPCを捨ててIntelに移行すると発表。株価は$10に到達。

この時期はいわゆるアップルの黄金期で、ぐんぐん株価も伸びて、さすがにちょっと高すぎるんじゃないか?という観測が出始めます。10年前から20倍になってるので、もう天井じゃないかと恐れた人々が多かったのです。

もう今さら買ってもねぇ。

そこへきて、2007年にiPhone発表。

私たちエンジニアは、この革命的なできごとに頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けましたが、世間のいわゆる「偉い人」たちが言っていたのは、「日本のガラケーのほうが技術的に進んでいる」「電話とブラウザとiPodを足しただけの凡庸な製品」「安物のチップを使っていて先進性のかけらもない」でした。

今聞いたら悪い冗談と思うかもしれませんが、私は誰がこの発言をしたのかまで覚えています。忘れてませんよ。笑

しかし、世間の評価は実際にそうで、ごく一部の熱狂的なファンのなかでは盛り上がっているけれども、株価はそれほど一気に盛り上がるわけでもなく、2008年まで2年ほどの時間をかけて$25まで上がります。

もう今さら買ってもねぇ。

日本で初めて発売されることになるiPhone 3Gと、サードパーティがアプリを開発できるプラットフォームであるApp Storeが発表された直後、株は売られ、$12まで落ち込みました。

それ見たことか。

しかしその後の展開はご存知の通り、App Storeは超大規模なアプリのエコシステムを着々と構築し、2011年のスティーブ・ジョブズ逝去という大きな転機を迎えてもビクともせず、株価は急伸を続けて2012年には$100に到達します。

もう今さら買ってもねぇ。

しかし2012年末、なぜか急激に冷え込んで$60まで急落し、その冷え込みは2013年の半ばまで継続します。

それ見たことか。

そこからまた巻き返し、2015年には$130をマーク。

もう今さら買ってもねぇ。

iPhone 6の時代となったところで再び急落、iPhone 7時代には$95まで落とします。もうアップルからはイノベーションは生まれない、という声がよく聞かれるようになりました。

それ見たことか。

しかしそこからふたたび株価は伸び、2018年には$230をつけます。

もう今さら買ってもねぇ。

しかしふたたび。。。もういいですかね、2019年に$150まで急落します。

それ見たことか。

そこから今はまた上げて2019年4月15日現在、$200となっています。

もう今さら買ってもねぇ。

何を言いたいか、わかりますかね?

こうしてミクロにその時代を生きていたら、もう将来性はない、今こそ売り抜けるべきだ、と思えるタイミングなんて無数にありました。

でも、そんな雑音を全部無視して、20年間ホールドし続けた株主だけが、300倍のリターンを得ています。100万円を投資していたら3億円ですね。

また、この長期的な上昇の波のどこで参入しても、持ち続けていればその果実を得られたはずですが、これまでに何度「もう今さら買ってもねぇ」というタイミングを見たでしょうか?それって、上昇を続ける優良株ほど起きることです。これを酸っぱい葡萄理論(平たくいうと負け惜しみ)といいます。

しかし、今やアップルの時価総額は前人未到の100兆円超え、さすがにもう先はないのでは?

と思う人がいても不思議ではありません。

現在、全世界の株式時価総額の総額(全ての会社の株の合計)は46兆ドル、約5000兆円です。ということは、GAFAの合計額が3兆ドルだとすると世界全体の5–10%程度を占めているということになります。

これが多いか少ないか、という意味でいうと、ジップの法則に従っているのだと考えれば、むしろ自由な資本主義を突き詰めた結果としては自然な現象だと言えます。

アメリカ一国で全体の過半を占めているように、世界の富の不均衡は残念ながら広がる一方であり、それが起こるのは市場経済にとっては計画通りなのです。

ちなみに、10年前の時価総額の総額は25兆ドルだったので、この10年間でトータルの分母である世界の富は1.8倍に増えたことになります。そしてそれを牽引しているのもまた、これらの革新的な企業群なのです。彼らは限られたパイを奪い合っているのではなく、世界の富を作り出しているのです。

個々の企業の栄枯盛衰はあります。GAFAのうちどれが最初に落ちぶれるか、という議論は十分にありうるでしょう。

でも、まともな経済感覚のある人ならば、市場経済が今後も発展するとの前提を置く限り、GAFA揃い踏みでの没落に賭けるのは、あまり良い手ではなさそうです。

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