これは実際にはジョブズ最後の写真ではありません。彼が病院から家に戻ってきたとき、亡くなる数日前の写真が残っています。写真は最後に投稿します。

ジョブズが写真の公開を止められなかった理由はたくさん考えられます。まずインターネット上に公開された情報を削除するのは驚くほど困難です。いったん写真がオンライン上で閲覧可能になってしまえば誰でも複製が可能です。一つのウェブページから削除したとしても、別の誰かが別のページに投稿します。誰もが彼の病状を知っていて、あれほど痩せて弱々しい姿をみても驚きはなかったにもかかわらず。

この写真はジョブズ氏がアップル社のCEOから退いたあと、2011年の8月に公開されました。ジョブズ氏がCEOとして最後に公の場に姿を現したのはWWDC2011で、痩せさらばえた姿に私たちはショックを受けました。

キーノートを見た人なら誰でも、彼もそう長くないことを悟りました。

CEOから身を引いてからは、健康状態に細心の注意を払わなければならない重圧から開放されました。アップル社の株価はジョブズ氏の健康状態と密接に連動しました。覚えていらっしゃるように株価はどんな噂によっても動きます。

あのときジョブズ氏は残された時間の短さを知っていたはずです。だから全てのエネルギーを注ぎ込んでアップルの未来を確実なものにしたかったのです。あなたが同じ状況だったら、ネットに自分の写真を撒き散らしている人々を追い詰めようとするでしょうか？彼の死後すぐ、伝記が出版されました。自身の健康状態についても率直に語っているので、秘密にしておく理由もありませんでした。

亡くなる直前、最期の写真がこちらです。忍びよる死の影を否定できない一枚です。撮られたのは2011年9月27日、亡くなる一週間前でした。