彼らはよほどのことがない限り、年齢差など無視し、単に"my brother"とか"my sister"としか云いません。アメリカでは兄弟・姉妹の場合、上下の区別をしないのです。兄弟・姉妹は平等であるという観点から、他人にはめったに"my elder brother, John"とか、"my younger sister, Emily"などと紹介しません。たまに"my baby brother, Tom"と云ったりすることはありますが。
私のカミさんがAlison(アリスン、左)と一緒の写真を見せて"my sister"と云った時、Alisonの顔が童顔に見えたせいで、てっきりカミさんの妹だと思いました。ところが、よくよく聞くと彼女はカミさんのお姉さんなので、びっくりしてしまいました。つまり、外見でも歳の上下は見当がつかず、説明して貰わないと判らないのです。
私が自分のウェブサイト『アメリカ映画南部もの大全集』のために、360本もの映画を見まくった時の悩みもそれでした。あらすじを書く時、映画に出て来る兄弟や姉妹のことを、日本文で「きょうだいのBobは」とか「きょうだいのAnnは」とすることは出来ません。「兄のBobは」あるいは「妹のAnnは」としないと落ち着かないからです。しかし、映画の画面でも台詞でも、年齢差の見当がつかず困ったことは数え切れませんでした。兄なのか弟なのか、姉なのか妹なのかを見極めるため、あちこちの映画紹介を読んだり、原作小説がある場合はそれを読んだりしたことさえあります。
長幼の序というのは、主にアジア人が大事にするものであって、欧米ではほとんど重んじられません。それが親子や兄弟の関係にも影響しているのだと思われます。